再生医療

循環器再生医療

昭和大学藤が丘病院循環器内科では、重症の末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病による血管障害)に対して再生医療という新しい分野の治療を行っています。
これまで、血管を形作る細胞や心臓の筋肉の細胞は、胎児の時期をすぎると新しく作ることはできないといわれていました。しかし、最近の研究で、骨髄という骨の中に入っている血液を作り出すもとの臓器に、幹細胞という血管や心臓の筋肉の細胞に分化するという細胞が見つかり、現在盛んにこれらの細胞についての研究が行われています。これらの細胞を利用し、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病による血管障害)の患者さんのうちバイパス手術や血管内のカテーテル治療の施せない細い血管の領域に病変がある患者さんに対して、骨髄間葉系細胞移植という治療を行っています。

末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病)

末梢動脈疾患

この治療の対象となる患者さんは、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病等で足や手の痛みや創があったり、少し歩行するだけで足が痛くなり歩くことが困難な患者さんです。この様な患者さんのうち、手や足の比較的大きな血管に異常がある患者さんは、血管のバイパス手術や血管内のカテーテル治療が可能ですが、そういった大きな血管でなく細い血管の異常のために症状がでている患者さんには、これまでは薬による治療以外に道はなく、最終的に手や足の切断をせざるを得ない方も多数いらっしゃいます。この様な患者さんの手や足を救うために、骨髄単核細胞移植が有用であるということが明らかとなってきており、現在のところ約70%の患者さんに有効性があり、手や足の痛みがとれたり歩行距離がのびたり、手や足の切断を免れたりすることも可能なことがわかっています。しかし、それでも不十分な患者さんも多くいるため、我々はこれまで骨髄間葉系細胞移植という骨髄の中の別な細胞を用いる実験を行いその効果を実証してきました。

現在はそれを厚生労働省の承認を得て患者さんに施行しています。具体的には、局所麻酔下に少量の骨髄液を採取しそれを数週間培養します。その後に培養により増殖した骨髄間葉系細胞を足や手の血流の不足している箇所に筋肉内注射をします。いずれの治療も、カテーテル治療やバイパス手術を行っても治療が不可能な患者さんのみに適応となる治療法です。
 当院では下肢の血管病で足の切断の危機にさらされている患者さんに対して、循環器内科、心臓血管外科、形成外科、皮膚科、腎臓内科、内分泌内科等があつまり連携して治療を行っており、再生医療もその治療法の一つとして行われています。

今後の治療へむけて

現在、バイパス手術やカテーテル治療が不可能な末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病による血管障害)の患者さんに対する治療として、骨髄細胞移植の他にも、血管新生因子(HGF, VEGF)といわれる特殊なタンパク質を投与する方法も試験段階にあり、将来は使用可能となりそうです。
 また、血管だけでなく心臓の筋肉を作ることのできる細胞も発見されており当科も含めこの方面の研究も盛んに行われています。これらの研究の発展により患者さんに使用可能となれば、将来は再生医療により、末梢動脈疾患のみならず、現在心臓移植によってしか治療不可能な重症心不全を含む心臓病の治療に用いられる可能性も期待されています。

これらの治療に興味をお持ちの患者さんへ

これらの治療に興味をお持ちの患者さんや医療機関の方は、紹介状をお持ちになり、木曜午前あるいは金曜午前の私の外来を受診してください(地域連携室に御連絡いただき予約をとっていただくとよりスムーズです)。

平成27年11月1日
昭和大学藤が丘病院循環器内科
教授 鈴木 洋