不整脈検査・治療の種類

当院で行う不整脈の検査・治療の種類

カテーテルアブレーション

カテーテルアブレーションとは

カテーテルアブレーションとはカテーテルを用いて、不整脈を治療する方法です。アブレーションとは、「取り除くこと、切除すること」という意味です。カテーテルの先から高周波電流を流して、心臓内の組織を小さく焼き切ることで不整脈を治します。不整脈の治療法にはカテーテルアブレーションの他に薬物治療と外科治療があります。

薬物治療では主に抗不整脈薬が用いられます。抗不整脈薬は異常な電気活動を抑制し効果を発揮しますが、不整脈の完全な抑制はなかなか困難です。抗不整脈薬の副作用として心機能が抑制される、まれに不整脈が悪化する場合があります。外科治療は、直接心臓を操作して異常な部分を除去しますが胸を開けるか、心臓を開ける大手術になるため、患者さんの受ける負担は大きなものになります。

現在では胸を切らなくてもよい、アブレーションが効果的な治療法として定着しています。カテーテルアブレーションのメリットには、薬物治療と異なり不整脈の根治が期待できること、根治されなくても症状の軽減が期待できること、外科治療と異なり繰り返し行えることがあります。

対象となる方

この治療は1990年頃から発作性上室頻拍症やWPW症候群に対して行われました。現在ではこれらの不整脈の他に、心室頻拍や心房細動に対しても行われています。治療の成績は、それぞれの不整脈で異なり、また患者さんの状態で異なりますが、発作性上室頻拍症やWPW症候群では成功率が高く、心室頻拍や心房細動では再発率が高くなります。

治療の方法

アブレーション治療では、まず専用のカテーテルを主に足の付け根にある太い血管(大腿静脈ないし大腿動脈)から入れ、その他に頸静脈や鎖骨下静脈から心電図記録用の電極を入れます。カテーテルはレントゲン撮影で透視しながら心臓まで到達させます。

治療の一例

カテーテルの先には心電図を計測するための電極がついていて、それで心臓の内壁に接触させながら心電図を計測します。この計測によって、今カテーテルが接している部分が、副伝導路などの異常な部位であるかどうかがわかります。この異常な部分を探す作業のことを「マッピング」と呼びます。最近では透視を使わなくても心臓の中でカテーテルの位置がわかるコンピューターシステムも使われます。

治療はカテーテル先端をマッピングで得られた不整脈発生部位に持っていき、そこに高周波エネルギーを流します。強い電流によって、わずかな領域の心臓組織だけが電気的に焼かれて細胞は死滅し、その結果、異常伝導路は断ち切られ不整脈を治すことができます。治療時間は2-4時間ですが、難治性不整脈の場合は5-6時間を要する場合もあります。治療後にアスピリン、ワーファリン、抗炎症薬、抗不整脈薬を服用して頂くことがあります。

ペースメーカー

ペースメーカーとは

徐脈が起きるのは、心臓の洞結節(自然のペースメーカー)、または、刺激伝導系がきちんと働かなくなった時で、原因として洞不全症候群、房室ブロックなどがあります。これらの病気では脈拍が遅いために、気を失ったり、心不全をおこすことがあり、ペースメーカーはペースメーカーリードとペースメーカー本体からなる「ペースメーカー」という機械を体の中に入れる手術が必要な方がいます。

手術の内容

手術は鎖骨下部を局所麻酔して行い、手術中も会話ができます。手術時間は手術内容により異なりますが、通常2時間程度ですが、さらにかかる場合もあります。手術はまずペースメーカーリードを鎖骨下の太い静脈かその枝から血管内に入れ、その後心臓内の適切な位置に固定します。太さは約1-2mmです。 リードは通常2本使い、右心房と右心室に固定します。

リードは固定がずれないように大胸筋に固定されます。ペースメーカー本体は鎖骨下の皮下に直径5cm程度のポケットを作り埋め込みます。安全に手術を行うために、血管撮影やカテーテルの留置を行うことがあります。

手術前後について

手術後について
手術当日はベッド上安静が必要です。翌日、医師が傷口を確認して、問題がないことを確認して歩行が可能です。
病状により翌日以後も点滴・服薬を続けます。

ICD(植え込み型除細動器)

ICD(植え込み型除細動器)とは

不整脈(ふせいみゃく)のうち脈が“異常に速くなるもの”を頻脈と呼びます。頻脈性不整脈でも特に心室から発生するものは、ショックや失神、悪性不整脈により命の危険があります。不整脈が発生した際には電気ショック治療による除細動という緊急治療が必要ですが、救急車や対外式自動除細動器(AED)が間に合わないことがあります。このような不整脈を起こしやすいと考えられる方には植え込み型除細動器という機械を体内に埋め込む手術が必要です。植え込み型除細動器は心臓の拍動を常に監視しており、悪性心室性不整脈発生時には不整脈停止モードや電気ショックモードにより不整脈を停止させる働きをします。

手術の内容

手術は鎖骨下部を局所麻酔して行い、手術中も会話ができます。手術時間は手術内容により異なりますが、通常3-4時間程度ですが、難しい場合はさらにかかる場合もあります。除細動器は本体と除細動用のコイル、またペーシング用のリードからなります。 太さはコイルが直径2-3mm,リードは1-2mmです。手術はまずコイルおよびリードを鎖骨下の太い静脈かその枝から血管内に入れ、その後心臓内の適切な位置に固定します。両方とも固定がずれないように大胸筋に固定されます。

除細動器本体は鎖骨下の皮下に直径5cm程度のポケットを作り埋め込みます。皮膚の弱い方は大胸筋肉の内側に本体を入れる場合があります。 最後に実際に悪性心室不整脈を誘発し、除細動器が正常に作動するか確認して手術は終了します。この確認の作業は静脈麻酔により眠っている間に行います。安全に手術を行うために、血管撮影やカテーテルの留置を行うことがあります。

手術前後について

手術後について
手術当日はベッド上安静が必要です。翌日、医師が傷口を確認して、問題がないことを確認して歩行が可能です。病状により翌日以後も点滴・服薬を続けます。

両室ペーシングおよび除細動機能付き両室ペーシング

両室ペーシングとは

いろんな原因で心臓の機能が低下し、心臓が全身に十分な血液を送り出せなくなった状態を心不全と言います。症状としては動いた時の異常な息切れ、呼吸困難、肺に水がたまる、全身のむくみ、などです。心不全の原因として 心臓の収縮に“同期不全”がある場合、両室ペーシングという治療が有効です。“同期不全”とは“左心室の動きに統一性がなく有効な収縮ができない状態”で、これに対して左心室の中隔と側壁を同時にペースメーカーで収縮させると、同期不全が改善し心不全が改善することが知られています。

対象となる方

対象となる患者さんは、同期不全があり、心不全に対して十分な薬を服用していても、心不全が改善しない方です。またこのような方々は危険な不整脈を起こす場合があり、植え込み型除細動機能が必要となる場合があります。

手術の内容

手術は鎖骨下部の局所麻酔で行い、手術中も会話ができます。手術時間は手術内容により異なりますが、通常3-4時間程度ですが、さらにかかる場合もあります。両室ペーシングではペースメーカーリードをまず右心室内に留置し、次に右心房の冠状静脈銅から冠状静脈の末梢の静脈に留置します。手術はまず直径1-2mmのペースメーカーリードまたは直径2-3mmの徐細動用のコイルを鎖骨下の太い静脈かその枝から血管内に入れ、右心室の適切な位置に固定します。左心室用のリードは直径1-2mmで右心房から冠状静脈洞の末梢の静脈に留置します。

これらのリードまたはコイルは固定がずれないように大胸筋に固定されます。次にペースメーカー本体または除細動器本体を鎖骨下の皮下に直径5cm程度のポケットを作り埋め込みます。皮膚の弱い方は大胸筋肉の内側に本体を入れる場合があります。除細動器を用いた場合は、手術の最後に実際に悪性心室不整脈を誘発し、除細動器が正常に作動するか確認して手術は終了します。この確認の作業は静脈麻酔により眠っている間に行います。安全に手術を行うために、血管撮影やカテーテルの留置を行うことがあります。

手術前後について

手術後について
手術当日はベッド上安静が必要です。 翌日、医師が傷口を確認して、問題がないことを確認して歩行が可能です。

関連ページ

Page Top